About
愛に濡れた言葉を。
Words drenched in love, delivered to you.
多くのものがあっという間に流れて行きます。効率よく、大量に、均一に。
けれど、その速い流れのなかで、本当に大切な言葉や、誰かの人生を根底から変えてしまうような一冊が、見過ごされてしまうことがあります。個人の静かな熱量や、尖った感性。それらは往々にして、メジャーな流通の仕組みのなかでは居場所を失ってしまいがちです。
私たちがやりたいのは、そうした「見えづらくなってしまった光」を、表現の大海から自分の手で丁寧に掬い上げることです。
でも、ここには矛盾があります。売れなければ書店には並びにくい。売れ筋を考えるとつまらなくなる。けれど、たくさんの人に知って、読んで欲しい。小さな枠に収まりたくない。
小粒だけど多くの人に知って手に取ってもらいたいと思うことは、欲張りでしょうか。自分がいいと思ったものをもっともっと、他の人にも読んでもらいたい。同人でもフェスでもなく、かと言って大手出版社からの出版でもなく。
たった一人の心に「たぶんずっと残る」ような、そんな強い生命力を持った本をつくり、届けたいのです。100人がくれる60点よりも、2人がくれる100点を。
作家が孤独に紡ぎ出した言葉を、編集の拠点で大切に育て、一冊の形にする。そして、それを待っている人のもとへ、手から手へと手渡していく。本が並ぶ本棚の前に立ち、個性的な言葉と静かに出会う。そこから人が集い、新たな対話やカルチャーがひらかれていく。
私たちが立てる小さな帆は、時代の速い潮流に逆らうためではなく、ただ、その一冊を本当に必要としている「あなた」の港へ、確実に辿り着くためのものです。
私たちはいまを生きています。
大きな声にかき消されそうな、けれど切実な表現のために、私たちは今日も、静かに帆を立てています。