愛のある料理
37歳になって気づいたことがある、37歳になって気づいた気づかされたことは沢山あるがその中の一つに、こういうものがある、料理にはうまい、まずいももちろんあるが、もっと大きなもので「愛のある料理」と「愛のない料理に」二分できる。
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茶碗蒸しはお好き
と私がジム帰りにとんかつ和幸で一口ヒレかつ定食を食べていると、太った中年の男性と、お年を召したおばあ様のあいだの席に案内されて私は座っていて、ジム帰りだからタンパク質だと思って、ばくばく食べてごはんの大盛にし、みそ汁とキャベツをおかわりして食べ終わる寸前に、お年を召したおばあ様が「茶碗蒸しはお好きですか」と茶碗蒸しをくれた。お年を召した方以外でそういう声掛けをする人がレストランの初対面でいるのだろうか。食べ物を大切にする世代なのだなあと思った。
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村上さん
福岡の事務所の近くに美味しい多国籍料理屋さんがあると知って、行ってみた。内装もお洒落でカウンターとテーブル席があって、カウンターの席に着いた、今晩も通りかかって満席だったから、前回つまり一昨日が最初の訪問だった時はラッキーだったのかカウンターの席にすんなりと座れた。お腹が空いていたから、ヤムウンセンとフォーとトマトのマリネを食べた。お通しはえごまのような葉っぱにキウイフルーツの欠片と香辛料が乗っていて、それを食べたら、それは「愛のある料理」だった。店員さんが注文のタイミングで「アレルギーはございますか」、と聞いてくれて、そこで既に愛が溢れていた。「アレルギーはございますか」と聞くことが店員に教育されている、それは店の方針で、「アレルギーはございますか」と聞かない飲食店も多い、その前の日にいったオイスターバーでは聞かれなかった。ホールの女性が2人いて、一人はオーナーぽく厨房にいるポイントタトゥーの男性が夫あるいはパートナーらしい雰囲気が二人が話している姿を見ていた訳ではないが伝わって来た。少し酔って入店した私に気を利かせてお水を絶やさずに持ってきてくれたのは地味な雰囲気の若い女性店員で、私はその店員といくつかの会話を交わした。私はその店員さんの名前を何故か訊きたくなって、というのは私の事務所の近くにこんなに接客の良い美味しい「愛のある料理」を出す店があったことに嬉しくなったので、きっとその店の話の合いそうな店員と知り合いになっておいたらいいのだろうなと思って、お名前は何ですか、と話のはずんでいるそのはずみに乗って尋ねたら、村上です、と彼女は言ったので、村上春樹と一緒だ、と私が言ったら、彼女は「?」で、「作家の」と私が言っても「わからない」と彼女は照れながら言った。